2019年3月に開催された『SCHOOL ZONE 8』。弘志さん自身も、自身が受け持つ『30代からのHIP HOPクラスチーム』に参加し、一緒にステージに立った。大人になってからダンスという趣味を得たり、ダンスを習う子どもたちと共に一緒にダンスをおぼえたり、年齢関係なく味わえる幅広いダンスの楽しみ方を、身をもって提案し、何よりも自分自身がダンスを楽しんでいる光景だった。

Location：SCHOOL ZONE（奥州市）

佐藤弘志

1982年奥州市江刺出身。2003年ダンススクール『SUGAR TIME』設立。2010年県南ダンススクール合同発表会『SCHOOL ZONE』立ち上げ。自主農園『SUGAR FARM』にて野菜栽培を行う。

冒頭にも紹介したが、子どもから大人までがダンスを習うスクール『SUGAR TIME』を運営しつつ、『SCHOOL ZONE』も主催している。運営の立場、先生の立場、ダンサーの立場と３つの顔を持たなきゃならないわけだが、会場内にいる弘志さんの姿は、常に自然体で、良い意味でマイペースなように見えた。イベントに参加する人皆がそれぞれに楽しみ、スタッフ皆が信頼の元に動いているからこその光景かなと思えた。駅前でのフライヤー配りからスタートしたスクール運営は、県内最大級のダンス発表会へと広がり、ここからもさらに盛り上がり続けていく予感しか感じられない、とても素晴らしいイベントだ。

Location：SUGAR TIME at SCHOOL ZORN（奥州市）

取材地は変わって、同じ奥州市内にある『SUGAR FARM』の農場。親の営んできた農地の一画を引き継いで『SUGAR FARM』をスタートさせたわけだが、そもそもの話、弘志さんは野菜が嫌いだそうだ。そんな野菜のなかでも、自分で育ててみて美味しいと思える野菜を中心に育てているとのこと。なかでもオススメの、まるで桃のような風貌と甘みをもつカブ『もものすけ』はとても美味しかった。野菜が嫌いな人がうまいと思って育てている。何よりもそれが単刀直入な説得力だった。

Location：SUGAR FARM（奥州市）

定期的に野菜を納品している『Cafe&Living UCHIDA』。この日のメニューに使用されていたのは、寒締めほうれん草ともものすけ。丁寧にグリルされた野菜が、人気メニューのカレーに添えられる。美味の一言につきる。ドリンクもスイーツもとても美味しい。店舗ビル２階の『古道具FUCHI』では、SUGAR TIMEでインストラクターもしている小川ちひろさんが、店長の久保友佳さんに変わってたまたま店番を任されていた。店の片隅には弘志さんが昔から憧れていたストーブも佇む。『SCHOOL ZONE』も間近に迫っていたこの日は、本番への準備話にも花が咲いた。野菜とダンスが連動して人の輪を広げている。あたたかい人のつながりだ。

Location：Cafe&Living UCHIDA ／ 古道具FUCHI（奥州市）

Food：トマトチキンカレー、スコーン
Drink：アイスカフェオレ

同じく定期的に野菜を納品しているレストラン『エルミタージュ』。様々な旬の野菜をその時々でメニューに使用して提供している。取材におじゃましたこの日使用していたのは、菜の花小松菜。旬も短く、数量も限られた菜の花小松菜を、同じく旬なホタルイカと合わせてパスタに仕上げていた。シンプルなのになぜこんなに美味しいのか。素材を活かすというのはこうゆうことなのだろう。自分が作った野菜をシェフが調理するのを見学しつつ食す弘志さん。美味しい野菜をつくった人にしか訪れない、素敵な光景であった。好きなことと好きなもの、そこに取り組むことで生まれる個性。ダンスと野菜、二つが相まって生まれる弘志さんのライフスタイル。今後の更なる活躍を応援したい。

Location：エルミタージュ（奥州市）

Pasta：菜の花小松菜とホタルイカのパスタ（旬野菜を使った特別メニュー）

取材：FOLKJOE 八重樫裕己